秋の牢獄

もし時間とお金に制限なく毎日何をしてもいいとしたら、あなたは何をするでしょうか。
仕事や宿題もしなくていい。
- 遊び呆ける
- 毎日おいしいものを食べる
- 風俗通い?
- 海外旅行
- 寝続ける。
- 映画三昧
いいですよね。人生で1回は考えたことがあるのではないでしょうか。
僕だったら、毎日缶チューハイで乾杯する朝から始めますね。笑
でも、それが、「特定のとある24時間」の繰り返しで、「特定の十数人」で繰り返されるとしたら。
- 嫌いな奴と一緒の時間を繰り返すとしたら。
- 死んでもまた生き返るとしたら。
- いい人ばかりではないとしたら。
ぞっとするかもしれません。そういうすごしゾッとする物語です。
「秋の牢獄」という短編小説です。
あらすじ
11月7日を繰り返す女子大生の物語。同じ毎日、同じことしか話さない友人、進まないカレンダー。世界中で誰とも分かり会えない孤独との戦い。同じ日を繰り返す人にしか見えない生物への恐怖。ホラー
感情が動いた言葉
「私はこの瞬間まで由利江に恋人がいることを知らなかった。私だって、由利江のこと友達だとは思っていなかった。」
「どんなことでもお試しできた」
「クリスマスも、正月も、新学期も春の芽吹きも初夏の風ももはや来ない」
「今から浮気するんだ」「今まであまり人を憎んだことはなかった」
「2人の死骸を前に脱力して壁にもたれた。」「ねぇ、おきた?」「それが7回目の朝だった」
「百回だって殺せる」
「最高だったよ、死ぬかと思ったけど本当に死ぬとはね」
おすすめしたい人
別の世界、空間、異次元が好きな人。
不思議な世界観が理解できる人。
ファンタジー、フィクションに冷めない、理解ある人
ちょっとゾクッとしたい人。
長い物語が読めない人
感想
なぜ、11月7日については、諸説あります。
秋という、一番イベントごとが少ない平凡な季節です。こころ踊る訳でもないし、お祭りや厳しい気温という訳でもないです。そして11月7日は、何もイベントがない日です。そっけないと言えばそうです。日常中の日常を表現するにはピッタリの日ということです。
恒川光太郎さんの本は、すごく独特な世界観があります。異世界に入り込んで、異世界の住人と一悶着あります。結構、子供が読んだら、おしっこ行けなくなるレベルです。人間の嫉妬というか、嫌悪感みたいなものがにじみでいます。肉塊になるまで鉄パイプで叩かれても、次の日には復活しているのですから。戦うって、疲れますよ。
進まないカレンダーに、何かしらの意味を付け出す主人公の考えも面白いです。浮気とか嫉妬とか殺意とか、人間の裏側が凝縮されています。
僕もこの世界に入りたいと思いました。
毎年11月7日になると、ソワソワします。焼き肉行こうかなとか、中洲行っとこうかなぁとか。
きっと、あなたも、「秋の牢獄」を読むと11月7日に期待しますよ。
読むと、11月8日は来なくなります。
それは、日めくりカレンダーがめくられてないだけかもしれませんが。
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